ホームページリニューアルのよくある失敗5つと要件定義で防ぐ方法


ホームページのリニューアルでよくある失敗は、実は作り始める前の「要件定義」でほとんど防げるんです。



要件定義って、それってどういう意味ですか?



家づくりでいえば、設計図の前に「何に困っていて、何を残して何を変えるか」を決める段階です。ここが曖昧なままだと、作り直しても成果が出にくくなります。



デザインを決める前に、まず中身を整理するのですね。何を決めればよいのか知りたいです。
ホームページリニューアルのよくある失敗の多くは、制作前の要件定義で防げます。主な失敗は、見た目だけの刷新、「今と同じで」の認識のずれ、途中で増える要望、公開後の検索流入の減少、素材待ちによる遅れの5つです。システム開発の調査でも、工期が延びた理由の55%が要件定義の問題でした。目的と数値目標、旧サイトの棚卸し、新旧URLの対応表を先に決めるのが基本です。
はじめに
「ホームページが古くなってきたので、そろそろリニューアルしたい」。そう考えたとき、まず思い浮かべるのは新しいデザインのイメージではないでしょうか。一方で、「せっかく作り直したのに問い合わせが増えなかった」という声も少なくありません。「途中で話が食い違い、予定より費用も時間もかかった」というケースもあります。
結論からお伝えすると、リニューアルのよくある失敗の多くは、デザインや制作の段階ではなく、その前の「要件定義」で防げます。要件定義とは、何のために作り直し、何を残して何を変えるのかを、制作に入る前に決めておく工程です。
本記事では、リニューアルで起きやすい失敗を5つ紹介し、それぞれが要件定義のどこで防げるのかを解説します。制作会社に相談する前に決めておきたい5つの項目もまとめました。数年前に作ったホームページの作り直しを考えている、経営者やWeb担当者の方に向けた内容です。
ホームページリニューアルで起きやすい「よくある失敗」5つ


リニューアルの失敗は、公開してから気づくものがほとんどです。現場でよく見かける代表的な5つを見ていきましょう。
失敗1:見た目を新しくすることが目的になっている
「古く見えるから」という理由だけで作り直すと、完成した瞬間がゴールになってしまいます。見た目は新しくなっても、問い合わせまでの道すじやサービスの説明が以前のままなら、成果は変わりません。店舗の改装にたとえると、内装をきれいにしても、入口がわかりにくく、メニューが読みにくいままでは、お客様は増えないのと同じです。この失敗は、後半で紹介する「目的と、成果を測る数字」を先に決めておくことで防げます。
失敗2:「今のサイトと同じで」が、人によって違う
リニューアルならではの失敗です。「この部分は今と同じでいいです」と伝えたとき、発注側と制作側が思い浮かべている「今」が一致しているとは限りません。たとえば、問い合わせフォームの通知メールは誰に届いているか。チラシのQRコードは、どのページにつながっているか。アクセス解析のタグ(訪問者数を数えるための目印のコード)は、どこに入っているか。画面に見えない仕組みほど、作り直しのときに抜け落ちやすいのです。防ぐには、今のサイトの棚卸しが欠かせません。
失敗3:制作の途中で要望が増え、費用と期間がふくらむ
デザインを見てから「やっぱりこのページも欲しい」「予約機能も付けたい」と要望が増えるケースです。一つひとつは小さくても、積み重なると見積もりと公開日が大きくずれます。家づくりで、壁ができてから窓の位置を変えると工事のやり直しになるのと同じで、後になるほど直す手間は大きくなります。これは、今回の範囲を文書に残し、双方で確認しておくことで防げます。
失敗4:公開後に検索からの流入や問い合わせが減る
ページ構成を整理した結果、URLが変わり、検索エンジンからの評価が新しいページに引き継がれないことがあります。古いけれど検索から人を集めていたページを「もう要らない」と削除してしまうのも、よくある原因です。たとえば「地域名+外壁塗装+費用」のような検索で毎月人を集めていた古いコラムを消すと、その入口ごとなくなってしまいます。新しいサイトのほうが見やすいのに、アクセスは減ってしまうのです。対策は、検索から人が来ているページの確認と、新旧URLの対応表です。
失敗5:原稿・写真がそろわず、公開が延びる
デザインとプログラムが完成しても、載せる文章や写真がなければ公開できません。「原稿はあとで用意します」のまま担当者が決まらず、数か月止まってしまうケースもあります。特にリニューアルでは、旧サイトの文章をそのまま使うのか、書き直すのかが決まっていないと、制作側も手を止めざるを得ません。原稿・写真の担当者と期限を最初に決めておくことが、いちばんの対策になります。
失敗の多くは「要件定義」の段階で決まっている


5つの失敗は、どれも作り始める前の決め事が足りなかったことから起きています。ここで、要件定義の役割と、なぜそれほど重要なのかを確認しておきましょう。
要件定義とは、家の「間取りと条件」を決める工程
要件定義は、家づくりでいえば、設計図を引く前の段階です。「家族は何人か」「予算はいくらか」「今の家の何に困っているか」を整理して、間取りと条件を決めます。ホームページでは、目的、対象とするお客様、必要なページと機能、予算、公開時期、公開後の更新体制などを決めます。ここが固まっていれば、デザインや制作は「決めたことを形にする作業」として迷わず進められます。
工期が延びた理由の55%は要件定義の問題だった
Webサイトに限らない業務システム開発の調査ですが、参考になるデータがあります。IPA(情報処理推進機構)が2017年の講演資料で紹介した、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の2016年の調査です。479件のプロジェクトで挙がった工期遅延の理由のうち、55%が要件定義の問題でした。中でも「要求仕様の決定漏れ」は、44.1%のプロジェクトで遅延の理由に挙がっています(出典:IPA「失敗しない要件定義とリスク対策」)。
同じ資料では、後の工程で見つかった問題ほど、直す手間が大きくなることも示されています。ホームページでも、構成を考えている段階なら数分で済む変更が、公開直前には大きな手戻りになります。
リニューアルは、新規制作より要件定義が難しい
IPAの同じ資料は、発注側と制作側でリスクの認識が合わないまま進めてしまうケースを挙げ、それが特に作り直し(システムの再構築)で見られると指摘しています。原因の一つが「現行踏襲」、つまり「今と同じに」という要望です。今の仕組みを関係者全員が正確に把握しているとは限らないため、言葉は同じでも中身がずれてしまいます。リニューアルでは、ゼロから作る場合の決め事に加えて、「今あるものを正しく知る」作業が必要になるのです。
リニューアルの要件定義で決めておく5つのこと


では、具体的に何を決めればよいのでしょうか。小規模なホームページでも押さえておきたい5つの項目を紹介します。どれも制作会社に相談する前から、社内で考え始められる内容です。
目的と、成果を測る数字を決める
「問い合わせを月3件から6件に増やす」「採用ページからの応募を年5件にする」のように、何をどれだけ変えたいのかを数字で決めます。数字があれば、デザインを選ぶときにも「その目的に合っているか」という基準が生まれ、見た目だけの刷新を防げます。なお、目標の数字は今の数字が分からないと決められません。アクセス数や月ごとの問い合わせ件数を、リニューアル前に一度控えておきましょう。公開後に効果を比べる基準にもなります。
今のサイトを棚卸しして「残す・直す・やめる」を分ける
今のページと機能を一覧にし、一つずつ残すか、直すか、やめるかを決めます。画面に見えないものも書き出すのがポイントです。フォームの通知先、予約や地図などの外部サービスとの連携、チラシや名刺に載せたURLなどです。私がリニューアルをお受けするときも、構成を考える前に、旧サイトのページと機能を一覧にするところから始めます。
あわせて、Googleサーチコンソール(Googleが無料で提供する、検索での表示状況を確かめる道具)で、検索から人が来ているページを確認しておきましょう。これで「今と同じ」のずれや、大事なページの削除をかなり防げます。ページの整理の進め方は古いホームページの不要なページを整理する方法で詳しく紹介しています。


ページ構成と、新旧URLの対応表を作る
新しいページ構成を決めたら、旧URLと新URLの対応表を作ります。URLが変わるページには、旧URLから新URLへ自動で転送する「301リダイレクト」を設定します。引っ越しのときに郵便局へ転居届を出しておくと、旧住所あての郵便が新居に届くのと同じ仕組みです。対応表は、次のような簡単なもので構いません。
| 旧URL | 新URL | 対応 |
|---|---|---|
| /service.html | /service/ | 301リダイレクト |
| /company.html | /about/ | 301リダイレクト |
| /campaign2019.html | (なし) | やめる。お知らせ一覧へ転送 |
URLが変わるときの注意点はサーバー移転×リニューアルで検索順位を守る7つの注意点にまとめています。


原稿・写真の担当者と期限を決める
どの原稿を誰がいつまでに用意するか、写真は新しく撮影するのか手持ちを使うのかを決めます。担当と期限が決まっていれば、素材待ちで制作が止まる事態を防げます。下書きは箇条書きのメモでも構いません。まずは期限までに材料をそろえることを優先しましょう。
公開後の更新担当と範囲を決める
お知らせやブログは誰が更新するのか、自分たちで更新したい範囲はどこまでかを決めておきます。更新したい範囲によって、作り方や管理画面の設計が変わるためです。たとえば、毎月のキャンペーン情報を自分たちで差し替えたいなら、その部分を管理画面から編集できる作りにしておく必要があります。公開後に変えようとすると、作り直しに近い工事になることもあります。
要件定義を制作会社と進めるときのコツ


要件定義は、発注側だけで完璧に仕上げる必要はありません。制作会社と一緒に進めるときに意識したい2つのコツを紹介します。
「おまかせ」ではなく、判断の材料を渡す
「プロにおまかせします」と伝えたくなる気持ちはよくわかります。ただ、自社のお客様のことや、どんな問い合わせが多いのかを一番よく知っているのは、発注側の皆さんです。お客様からよく受ける質問、問い合わせの内訳、気に入っている他社サイトとその理由。こうした判断の材料を渡すことで、提案の精度が上がります。何を出せばよいか迷ったら、制作会社に質問の一覧を作ってもらうのも一つの方法です。
決めたことは文書にして、双方で確認する
打ち合わせで決まったことは、ページ一覧、機能の範囲、公開日などを1枚の文書にまとめ、双方で確認します。「どこまでが今回の範囲か」を文字で残しておくことが、途中で要望が増えたときの判断基準になります。新しい要望が出ても、今回の範囲に入れるのか、公開後の第2段階に回すのかを落ち着いて決められます。
よくある質問
- 要件定義にはどれくらいの期間がかかりますか?
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10ページ前後の小規模なホームページなら、ヒアリングから構成の確定まで1〜2週間ほどが目安です。ページ数が多い場合や、予約・会員などの機能を作り直す場合は、さらに時間がかかります。ここを急いで短くするより、決め切ってから制作に入るほうが、結果として公開日は早まりやすくなります。
- 要件定義書は、小さなホームページでも必要ですか?
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何十ページもの正式な書類は必要ありません。ページ一覧、目的と数値目標、公開日、原稿の担当など、決めたことを1〜2枚にまとめておけば十分です。大切なのは書類の形式ではなく、発注側と制作側が同じ内容を確認できる状態にしておくことです。
- 制作会社に要件定義から相談してもよいですか?
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はい、要件定義の段階から相談するのがおすすめです。何を決めればよいかを質問の形で整理してもらえるため、社内だけで悩むより早く進みます。ただし、自社のお客様や業務のことは発注側にしか分からないため、最終的な判断は自分たちで行う意識を持っておきましょう。
- リニューアル後にアクセスが減ったら、まず何を確認すればよいですか?
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まず、旧サイトのURLをいくつかブラウザで開き、新しいページへ自動で転送されるかを確かめてください。次に、Googleサーチコンソールの「ページ」レポートで、「見つかりませんでした(404)」のページが増えていないかを確認します。転送の漏れが見つかったら301リダイレクトを追加し、検索エンジンからの評価が新しいページへ引き継がれるのを待ちます。
まとめ
ホームページリニューアルでよくある失敗を5つ紹介しました。見た目の刷新が目的になる、「今と同じ」の認識がずれる、途中で要望が増える、検索からの流入が減る、素材がそろわない。いずれも、制作に入る前の要件定義で防げます。
要件定義で決めておきたいのは、次の5つです。
- 目的と、成果を測る数字
- 今のサイトの棚卸し(残す・直す・やめる)
- ページ構成と新旧URLの対応表
- 原稿・写真の担当者と期限
- 公開後の更新担当と範囲
まずは今のホームページのページ一覧を作り、ページごとに「残す・直す・やめる」の印を付けてみてください。それだけで制作会社への相談がぐっと具体的になり、リニューアルの失敗を大きく減らせます。



まずは今のサイトのページ一覧を作って、「残す・直す・やめる」の印を付けてみてください。



それなら私にもできそうです。フォームの通知先のような、目に見えない部分も書き出すのですね。



はい。その一覧があるだけで、制作会社との相談がぐっと具体的になります。



さっそく今週中に、社内で一覧を作ってみます。









