EC導入を見据えたシステム選定|3つの型と今からできる準備

EC導入を見据えたシステム選定と3つの型、今からできる準備を解説する記事のサムネイル

ホームページができたあと、「次はネットでも商品を売りたい」というご相談をよくいただきます。

私もまさにそうなんです。ただ、どのサービスを選べばいいのか分からなくて…。拡張性が大事と聞きましたが、それってどういう意味ですか?

事業が育ったときに、機能を足したり別の仕組みへ移ったりできる「余白」のことです。家でいえば、将来の増築に備えて配線を通しておくイメージですね。

それなら、今のうちにできることがありそうですね。選び方と準備を教えてください。

この記事の結論

EC導入を見据えたシステムは、商品数と運用の手間に合わせて「決済リンク型」「カートサービス型」「ホームページ一体型」の3つから選ぶのが基本です。商品が数点なら月額固定費0円の決済リンクで小さく始め、独自ドメインで運用できるか・データを持ち出せるか・誰が保守するかを確かめておけば、育ってから乗り換えても困りません。

読みたい場所にジャンプ

はじめに

「名刺代わりのホームページはできた。次は商品もネットで売れるようにしたい」——第一フェーズを終えた事業者の方から、こうしたご相談をよくいただきます。店頭で好評の商品を遠方のお客様にも届けたい、教室のオリジナル教材を販売したい。きっかけはさまざまです。

一方で、手が止まってしまう方も少なくありません。「ネットショップのサービスが多すぎて、どれを選べばいいか分からない」「今のホームページを作り直すことになるのでは」という不安があるからです。実際、勢いで始めたあとに別のシステムへ移りたくなり、商品登録やURLの付け替えをやり直すケースもあります。

この記事では、名刺代わりのホームページを第一フェーズとして作る方法に続く第二フェーズのお話です。将来のEC導入を見据えたシステムの選び方と、今のうちに済ませておきたい準備を解説します。読み終えるころには、自社がどの型から始めればよいか、そして今日から何を整えればよいかがはっきりしているはずです。

あわせて読みたい
名刺代わりのホームページとは?第一フェーズで作る理由と最低限の中身 名刺やSNSはあるのに、ホームページだけ無いという方、実はとても多いんです。 そうなんです。作りたい気持ちはあるのですが、何をどこまで載せればいいのか分からなく...

第二フェーズで「EC導入の準備」から始める理由

EC導入の準備から始める理由を、商品情報・写真・配送・URL設計と将来の拡張性で解説したイラスト

EC導入というと、すぐにネットショップを開くことを想像しがちです。しかし第二フェーズで先に手をつけたいのは、ショップそのものではなく「あとから無理なく足せる状態」を作ることです。

いきなりネットショップを作ると遠回りになりやすい

結論から言うと、売る準備が整わないうちにシステムだけ先に決めると、遠回りになりやすいです。理由は、扱う商品の数や配送方法、売り方が固まっていない段階では、自社に合うシステムを判断する材料がそろっていないからです。

たとえば、お店を開くときに、何を何個並べるか決まっていないのに棚を発注すると、足りなかったり、逆に広すぎて持て余したりします。ECも同じで、商品が3点なのか300点なのか、定期便があるのか、予約販売なのかによって、合うシステムはまったく変わります。

だからこそ第二フェーズでは、システムを決め打ちする前に、売り方と準備を整えるところから始めるのが近道です。

拡張性とは「あとから足せる余白」のこと

システム選定でよく聞く「拡張性」とは、事業が大きくなったときに機能を足したり、別の仕組みに乗り換えたりできる余白のことです。家づくりでいえば、将来の増築を見越して、配管や電気の配線をあらかじめ通しておくようなものです。

余白のないシステムを選ぶと、売上が伸びたタイミングで「この機能が使えない」「データを移せない」という壁にぶつかります。反対に、余白のある選び方をしておけば、小さく始めて、育ってから広げることができます。第一フェーズで大切にした「段階的に育てる」考え方は、EC導入でもそのまま当てはまります。

ECシステムは3つの型から選ぶ

ECシステムの3つの型、決済リンク型・カートサービス型・ホームページ一体型の違いを比較した図

ネットで物を売る仕組みは数多くありますが、ホームページとの関係で整理すると、大きく3つの型に分かれます。自社の商品数と、運用にかけられる手間から型を選ぶのが失敗しないコツです。目安としては、商品が数点なら決済リンク型、十数点以上ならカートサービス型、デザインや独自の機能にこだわりたく保守の体制もあるならホームページ一体型です。

なお、Amazonや楽天市場などのモールへの出店は、自社のホームページとは別の「売り場」になるため、ここでは扱いません。以下の料金は2026年10月時点の各社公式サイトの表示です。

決済リンク・購入ボタン型

今のホームページはそのままに、購入の部分だけを外部の決済サービスに任せる方法です。たとえばSquareのオンライン決済は、初期費用・月額固定費が0円で、決済ごとに3.6%の手数料がかかる仕組みです。商品ページに「購入する」ボタンを置き、押すと決済画面へ移動します。

商品が数点で、まずは売れるかを試したい段階に向いています。店舗でいえば、本店の一角に小さな販売コーナーを設けるイメージです。ただし、在庫管理や会員機能などは限られるため、商品が増えてきたら次の型へ移ることを前提にしておきましょう。

カートサービス型

BASEやShopifyのように、ネットショップの機能一式を月額料金や手数料で借りる方法で、業界では「ASPカート」とも呼ばれます。BASEはスタンダードプランなら月額0円で、売れたときに決済手数料3.6%+40円とサービス利用料3%がかかります。Shopifyは年払いのBasicプランなら月額3,650円からで、決済手数料(Basicは3.55%)はプランごとに異なります。

たとえば5,000円の商品が1つ売れた場合、手数料はSquareで180円、BASEのスタンダードプランで370円です。売れた分だけ費用がかかる仕組みは始めやすい反面、売上が増えるほど月額制のほうが割安になる分岐点が出てきます。

カートサービス型は、商品登録や在庫管理、配送設定といった機能が最初からそろっています。商品が十数点以上ある場合や、継続的に販売したい場合の本命です。商業施設にテナントとして出店するように、建物の管理は施設に任せて、自分は売ることに集中できます。

また、どちらもホームページとは別のサービスなので、今のサイトを作り直す必要はありません。ホームページの商品紹介ページから「オンラインショップはこちら」とリンクでつなぐだけで、両方を生かせます。

ホームページ一体型

WordPressで作ったホームページに、WooCommerce(無料で追加できるネットショップ用の拡張機能)などを組み込み、ひとつのサイトで完結させる方法です。デザインや導線を自由に作り込めるのが強みです。その分、サーバーの管理や拡張機能の更新、セキュリティ対策を自社か制作会社が担う必要があります。

自宅を増築して店舗スペースを作るようなもので、自由度は高い一方、建物の維持も自分の責任になります。決済が止まれば注文が取れなくなるため、保守を任せられる体制がある場合に選ぶ型と考えてください。

拡張性の高いシステムを見極める4つのチェックポイント

拡張性の高いECシステムを見極める4つのチェックポイントを解説した図

どの型を選ぶ場合でも、申し込む前に確認しておきたい点があります。料金の安さより先に次の4つを確かめておくと、乗り換えや拡張で困りません。

一つ目は「独自ドメインで運用できるか」です。ショップのURLがサービス側のドメインのままだと、別のシステムに移ったときにURLが変わります。そうなると、検索での評価やお客様のブックマークを引き継げません。お店でいえば、住所ごと引っ越すようなものです。

二つ目は「商品や顧客のデータを持ち出せるか」です。商品情報や注文履歴をCSV(表計算ソフトで開ける形式)などで書き出せれば、乗り換えのときに一から登録し直さずに済みます。

三つ目は「今のホームページと共存できるか」です。とくにホームページ一体型では、使っているテーマ(デザインのひな形)によって、EC機能が動作保証の対象外になっていることがあります。組み合わせによっては、注文が「処理中」のまま止まる、確認メールが届かないといった不具合も報告されています。導入前に、テーマの提供元がEC機能への対応を明記しているかを確認しましょう。

四つ目は「誰が保守するか」です。カートサービス型ならシステムの更新はサービス側が行いますが、ホームページ一体型では自社か制作会社の担当になります。決済まわりの不具合は売上に直結するため、トラブルのときに誰が対応するかを先に決めておくことが欠かせません。

この4点は、料金表や紹介ページだけでは分かりにくいこともあります。迷ったときは、無料プランや試用期間で管理画面を実際に触ってみてください。データの書き出しや独自ドメインの設定がどこでできるかを確かめておくと確実です。つまり、申し込む前のひと手間が、数年後の乗り換えの手間を大きく左右します。

EC導入前に今から済ませておく準備

EC導入前に準備しておきたいURLとドメイン設計、商品情報、決済サービス審査をまとめた図

システムを決める前でも、今日から進められる準備があります。ここを先に整えておくと、どの型を選んでも導入がスムーズになります。

URLとドメインの設計

ホームページの段階で、将来ショップを置く場所を決めておきましょう。たとえば「example.com/shop/」のようにホームページの中に置くのか、「shop.example.com」のように別の入口(サブドメイン)を作るのか。前者はホームページと一体で見せやすく、後者はカートサービスと組み合わせやすいという特徴があります。

これは、家を建てるときに将来の子ども部屋の場所を間取りに書き込んでおくのと同じです。場所だけ先に確保しておけば、作り直さずに後から足せます。ホームページの制作を依頼している場合は、この点を制作会社に伝えておくだけで十分です。

商品情報・写真・特定商取引法の表記

ネットショップで一番時間がかかるのは、実はシステムの設定ではなく、商品情報の準備です。商品名、価格、サイズや素材、在庫数、そして商品写真。これらを表計算ソフトにまとめておけば、多くのシステムで一括登録に使えます。

写真は、明るい場所で同じ背景・同じ角度で撮りそろえておくと、ショップに並べたときに統一感が出ます。商品が少ないうちから撮り方を決めておけば、追加するたびに雰囲気がばらつくこともありません。

あわせて、ネットで物を売るときは「特定商取引法に基づく表記」として、販売事業者名や所在地、連絡先、返品の条件などを掲載する必要があります。返品や送料のルールは、店頭での販売とは考え方が変わる部分なので、早めに決めておきましょう。

決済サービスの審査と取扱商品の確認

カード決済を使うには、決済サービスの審査を通る必要があります。審査では、販売する商品の内容や特定商取引法の表記が確認されるのが一般的です。また、商品によっては取り扱いが制限されていたり、販売に許可や届出が必要だったりします。

食品やお酒、中古品などを扱う予定がある場合は、システムを選ぶ前に、使いたい決済サービスの規約と必要な許可を確認しておくと安心です。審査に通らなければ、システムが決まっていても販売を始められないため、準備の中でも優先度の高い項目です。

よくある質問

BASEで始めたネットショップを、あとからShopifyなどに移せますか?

移すことは可能です。多くのカートサービスでは商品データをCSV形式で書き出せるため、登録し直す手間を減らせます。ただし、ショップのURLがサービス側のドメインのままだと移行時にURLが変わるため、最初から独自ドメインで運用しておくことが大切です。

ホームページとネットショップは同じドメインにしたほうがいいですか?

ホームページと同じドメインの中(example.com/shop/)に置くか、サブドメイン(shop.example.com)にするのが一般的です。どちらも自社ドメインの一部なので、お客様に同じお店だと伝わりやすく、将来の乗り換えにも強くなります。カートサービスと組み合わせる場合は、サブドメインのほうが設定しやすいことが多いです。

商品が数点しかなくても、ネットショップを作る意味はありますか?

あります。ただし数点なら、カートサービスを契約するより、決済リンクや購入ボタンをホームページに置く方法で十分なことが多いです。月額固定費のかからない方法で売れるかを確かめ、商品が増えてから本格的なショップへ移るのが無駄のない進め方です。

EC導入にかかる費用の目安はどれくらいですか?

決済リンク型やBASEのスタンダードプランなら、月額0円で、売れたときの手数料だけから始められます。Shopifyは年払いのBasicプランで月額3,650円からです(2026年10月時点)。ホームページ一体型は、構築費に加えてサーバーや保守の費用が継続してかかる点を見込んでおきましょう。

まとめ

第二フェーズで大切なのは、すぐにネットショップを開くことではなく、将来EC機能を無理なく足せる状態を作っておくことです。システムは「決済リンク・購入ボタン型」「カートサービス型」「ホームページ一体型」の3つの型から、商品数と運用にかけられる手間で選びます。

どの型を選ぶ場合でも、確認したいのは4点です。独自ドメインで運用できるか、データを持ち出せるか、今のホームページと共存できるか、誰が保守するか。ここを押さえておけば、あとからの乗り換えや拡張で困ることはありません。迷ったら、まずは小さく始められる型で「売れるか」を確かめ、育ってから広げるのが失敗の少ない進め方です。

まずは、売りたい商品の名前・価格・写真を一覧にまとめるところから始めてみてください。その一覧が、どのシステムを選ぶかを決めるいちばんの判断材料になります。

ECは今すぐ始めなくても大丈夫です。商品数と手間に合わせて3つの型から選び、独自ドメインとデータの持ち出しだけは必ず確認してください。

まずは小さく試して、育ってから広げればいいんですね。

はい。手始めに、売りたい商品の名前・価格・写真を一覧にまとめてみましょう。それが一番の判断材料になります。

それなら今日から始められそうです。さっそく書き出してみます。

各種SNSのシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
読みたい場所にジャンプ