インバウンド集客の第一歩|多言語サイトは英語1ページから始める

インバウンド集客の第一歩として、飲食店が訪日外国人向けに英語1ページの多言語サイトを用意し、メニュー・料金・営業時間など7つの情報を案内するイラスト

外国人のお客様が増えてきたら、まずは英語のページを1枚、URLを分けて作るのがおすすめです。

全部訳さなくていいのですね。でも、URLを分けるって、それってどういう意味ですか?

日本語版と英語版で、ページの住所を別々にすることです。「example.com/en/」のように分けると、英語で検索した人に見つけてもらいやすくなります。

看板を言語ごとに立てるようなものなのですね。何を載せればいいのか、知りたいです。

この記事の結論

多言語サイトでインバウンド集客を強化する第一歩は、全ページの翻訳ではなく、訪日客が来店前に確かめる7つの情報(お店の内容・メニューと料金・営業時間・行き方・支払い方法・予約方法・お店のルール)をまとめた外国語ページを1枚つくることです。言語は迷ったら英語から始め、「/en/」のように言語ごとにURLを分けると、検索で見つけてもらいやすくなります。

読みたい場所にジャンプ

はじめに

お店や宿に、外国人のお客様が増えてきた。せっかくなら、もっと来てもらいたい。そう考えて「インバウンド集客のために、ホームページを多言語対応に」と思い立ったものの、何から手をつければいいのか分からず止まっていませんか。翻訳会社に全ページを頼むと費用がかさみそうですし、自動翻訳で済ませてよいのかも不安だと思います。

結論からお伝えすると、最初の一歩は、サイト全体を翻訳することではありません。訪日客が来店前に確かめたい情報だけをまとめた外国語のページを、1枚つくることです。

本記事では、その1枚に載せる7つの情報と、言語の選び方を紹介します。あわせて、検索で見つけてもらうための作り方の基本や、機械翻訳との付き合い方も、Web制作の現場の視点で解説します。飲食店や宿泊施設、体験サービスなど、外国人のお客様を迎えたい小さなお店の方に向けた内容です。

なぜ今、小さなお店こそインバウンド向けの多言語サイトが必要なのか

訪日外国人の増加を背景に、小さな飲食店が多言語サイトで営業時間や料金を案内し、外国人旅行者の来店を後押しするイラスト

多言語サイトは、大きなホテルや観光施設だけのものと思われがちです。しかし数字を見ると、小さなお店ほど外国語の情報を用意する価値が大きいことが分かります。なぜなら、訪日客が言葉で困る場面の多くは、個人店のような身近なお店で起きているからです。

訪日客は過去最高の4,268万人に

日本政府観光局(JNTO)の発表(訪日ラボのまとめ記事)によると、2025年の訪日外客数は4,268万人でした。前年の3,687万人を約580万人上回り、過去最高を更新しています。国別では韓国が1位で、アジアを中心に欧米など幅広い国と地域から旅行者が訪れています。

これだけの人数が日本を旅しています。有名な観光地だけでなく、少し外れた商店街や地方の町に外国人のお客様が立ち寄る機会も、自然と増えていきます。「うちには関係ない」と思っているお店にも、すでに来店のチャンスは届いています。

旅行中の「困った」は言葉の壁、その約半数は飲食店

観光庁が2024年度に実施した訪日外国人旅行者への調査(トラベルボイスの記事)では、旅行中に困ったことの2位が「施設等のスタッフとのコミュニケーション(英語が通じないなど)」でした。割合は15.2%で、1位のごみ箱の少なさに次ぐ多さです。さらに、コミュニケーションで困った場所としては、飲食店が都市部・地方部ともに約50%を占めています。

ここから分かるのは、訪日客は「お店に入ってから言葉で困る」場面が多いということです。注文の仕方や料金、支払い方法をあらかじめサイトで確かめられれば、来店前の不安も店頭でのやり取りも減らせます。外国語のページは、お店の前に立つ通訳のような役割を果たしてくれます。

地図アプリで見つけたあとに開かれるのが公式サイト

旅行者は、地図アプリや口コミサイトでお店を見つけることがよくあります。そのあと「今日は開いているか」「予算はいくらか」「カードは使えるか」を確かめるために、公式サイトを開きます。

このとき日本語のページしかないと、ブラウザの翻訳機能に頼ることになります。訳がうまく伝わらなかったり、メニューが写真の中の文字だったりすると、旅行者は確かめきれずに別のお店を選んでしまいます。看板が日本語だけのお店に入りづらいのと同じで、サイトも外国語の入口があるかどうかで選ばれ方が変わるのです。つまり、外国語のページは「来てくれた旅行者を逃さないための入口」として、小さなお店ほど効果を発揮します。

多言語化の第一歩は「全部訳さない」こと

多言語サイトは全ページを翻訳せず、英語1ページにお店の内容・料金・営業時間・アクセス・支払い方法・予約・利用ルールをまとめる図解

多言語化と聞くと、今あるページを全部翻訳するイメージを持つ方が多いと思います。しかし最初から全ページを訳すと、費用も更新の手間も言語の数だけ増えていきます。家づくりで言えば、いきなり全部屋をリフォームするのではなく、まず玄関を整えるところから始めるイメージです。

最初の1ページに載せる7つの情報

訪日客が来店前に知りたいことは、実はそれほど多くありません。まずは次の7つを1ページにまとめれば、外国語の入口として十分に機能します。

  1. 何のお店か(料理のジャンルやサービス内容を一言で)
  2. メニューやプランと料金(写真つきで、税込みかどうかも明記)
  3. 営業時間と定休日
  4. 場所と行き方(最寄り駅からの道順、地図へのリンク)
  5. 使える支払い方法(クレジットカード、電子マネー、現金のみなど)
  6. 予約や問い合わせの方法
  7. 知っておいてほしいルール(アレルギー対応、キャンセル、席の時間制限など)

ここで大切なのは、お店のこだわりや歴史を長く語るよりも、「行くかどうかを決める材料」を先に置くことです。お店の想いは、7つの情報が整ったあとに書き足していけば十分です。

言語は「実際に来ているお客様」から選ぶ

最初の言語は、迷ったら英語から始めるのが現実的です。英語は多くの国の旅行者が読めるうえ、訳文を確認してくれる人も見つけやすいからです。

そのうえで、実際に来ているお客様の国や地域を確かめてください。見るところは次の3つです。

  • 店頭で、どの国のお客様が多いか
  • Googleマップの口コミが、何語で書かれているか
  • アクセス解析で、どの言語設定の人がサイトを見ているか

こうした手元の情報から、2つ目の言語を決めていきます。たとえば韓国や台湾からのお客様が多いお店なら、英語の次に韓国語や繁体字中国語を足す、という順番です。全国の統計よりも、自分のお店に来ている人の顔ぶれが一番の判断材料です。

検索とAIに見つけてもらう作り方の基本

検索エンジンとAIに見つけてもらう多言語サイトの作り方。言語別URL、1ページ1言語、料金・営業時間のテキスト掲載を示す図解

外国語のページは、つくっただけでは見つけてもらえません。検索エンジンに「このページは英語版です」と正しく伝わる作りにしておく必要があります。ここでは、Googleが公式に案内している基本を3つに絞って紹介します。

言語ごとにURLを分ける

Googleは、言語ごとに異なるURLを使うことをすすめています。たとえば日本語のトップが「example.com/」なら、英語版は「example.com/en/」です。このように、言語ごとにページの住所を分けます。反対に、閲覧者のブラウザ設定などに合わせて同じURLのまま表示言語を切り替える方式は、おすすめしないと明記されています。

お店に例えると、言語ごとに入口の看板を別々に立てるイメージです。翻訳ボタンを置いただけのサイトは、店内に通訳がいても外の看板が日本語だけの状態です。英語で検索した人には、見つけてもらいにくくなります。 あわせて「hreflang(エイチレフラング)」という目印も設定します。日本語版と英語版が対になっていることを、検索エンジンに伝えるためのものです。館内案内の「Englishはこちら」という表示を、検索エンジン向けに置いておくようなものです。

1ページに1言語、自動で切り替えない

Googleはページの言語を、表示されている文章から判断します。そのため、1つのページに日本語と英語を並べて書くと、どちらの言語のページなのかが伝わりにくくなります。英語ページは英語だけで書き、日本語の併記は避けましょう。

また、閲覧者の国や言語を推測して、自動で英語ページへ移動させる仕組みも避けてください。Googleは自動リダイレクトを避け、代わりに各言語版へのリンクを置くことをすすめています。日本に住む外国人の方や、日本語を学んでいる方が日本語版を見たい場合もあるからです。言語の切り替えリンクは、ページの上部など目に入りやすい場所に置きます。

料金や営業時間は画像にせず文字で載せる

手書き風のメニュー画像や、営業時間を書き込んだバナーは、見た目がよい反面、弱点があります。ページ全体を訳すブラウザの翻訳機能では、画像の中の文字が訳されずに残ってしまうのです。検索エンジンやAIによる要約も、画像の中の文字より、ページに文字として書かれた情報のほうを確実に読み取れます。

料金・営業時間・支払い方法のように「確かめたい情報」は、必ずテキストで書きましょう。 写真は、お店の雰囲気を伝える役割として添えるのがおすすめです。

機械翻訳との上手な付き合い方

多言語サイトの英語翻訳は機械翻訳で下訳を作り、人が料金・税・サービス料、アレルギー、キャンセル規定を確認する手順を示すイラスト

費用を抑えるために、機械翻訳を使うこと自体は問題ありません。最近の翻訳ツールは精度が上がり、下書きづくりには十分役立ちます。大切なのは、機械に任せる部分と人が確かめる部分を分けることです。

下訳は機械、仕上げは人の目

おすすめは、機械翻訳で下訳をつくり、英語に慣れた人に読んでもらう進め方です。店舗運営に例えると、仕込みは機械に任せても、味見は必ず人がするのと同じです。

機械翻訳は、日本語の文が長かったり主語が省かれていたりすると、意味のずれた訳を出しやすくなります。元の日本語を「1文を短く」「主語をはっきり」書き直してから翻訳にかけるだけで、仕上がりは大きく変わります。

料金・アレルギー・キャンセルだけは必ず確認する

すべての文を完璧にする必要はありません。ただし、間違えるとお客様が損をしたり、体調を崩したりする情報だけは、必ず人の目で確認してください。 具体的には、料金と税・サービス料の扱い、アレルギーや食材の表記、予約のキャンセル規定の3つです。

たとえば「お通し」は、機械翻訳では意味が伝わりにくく、会計時の行き違いが起きやすい代表例です。「Table charge: 500 yen per person, includes a small appetizer.(席料1人500円、小皿料理つき)」のように、仕組みごと説明する書き方に直しておくと安心です。つまり、確認に時間をかけるのは、この3つで十分です。

サイトと一緒に整えたい集客の入口

インバウンド集客でGoogleマップの店舗情報更新、英語の予約フォーム設置、公開後のアクセス解析を行う3つのステップを示す図解

外国語のページができたら、そこへ旅行者を案内する入口と、来店へつなげる出口も整えます。

Googleマップの情報を最新にしておく

旅行者がお店を探すとき、まず開くことが多いのがGoogleマップです。Googleマップにお店の情報を載せる無料の仕組みを、Googleビジネスプロフィールといいます。ここに登録した営業時間、定休日、写真、メニューを最新にしておきましょう。外国語で書かれた口コミに、同じ言語で短くお礼を返すだけでも、外国人のお客様を歓迎しているお店だと伝わります。

予約と問い合わせを日本語なしで完結させる

英語ページの最後が「お電話でご予約ください」では、言葉に不安のある旅行者は行動に移せません。予約フォームや問い合わせフォームは、項目名もボタンも送信後の画面も英語にそろえます。電話以外に、言葉の壁が低い連絡手段を1つ用意することが、来店につながるかどうかの分かれ目です。

公開後は「何語で何回見られたか」を確かめる

公開したら、アクセス解析で英語ページの閲覧数や、どの国から見られているかを月に1回確かめましょう。英語ページがよく見られているのに予約が増えないなら、料金や予約方法の書き方を見直す合図です。数字を見ながら1ページずつ育てていくことで、無理なく2言語目、3言語目へ広げられます。入口・出口・振り返りの3つがそろって初めて、外国語のページがインバウンド集客の仕組みとして動き出します。

よくある質問

英語のほかに、中国語や韓国語のページも必要ですか?

最初から必要とは限りません。まず英語で1ページをつくり、実際のお客様の国や地域を確かめてから追加するのがおすすめです。店頭の様子、Googleマップの口コミの言語、アクセス解析で見られている言語が判断材料になります。中国語は、中国本土向けの簡体字と、台湾・香港向けの繁体字で文字が異なる点にも注意が必要です。

WordPressで作ったホームページでも多言語化できますか?

できます。WordPressには、言語ごとにページとURLを分けて管理できるプラグインがあります。これを使えば、日本語版と英語版を対にして運用できます。ただし、表示だけを翻訳するタイプのプラグインもあります。言語ごとにURLが分かれるかどうかを、導入前に確かめることが大切です。

外国語の問い合わせに、うまく返信できるか不安です。

よく来る質問への返信文を、あらかじめ数パターン用意しておくと安心です。予約フォームを人数・日時・アレルギーの有無などの選択式にすれば、自由に書かれた文章を読み解く負担も減らせます。細かいやり取りは翻訳ツールを併用すれば、多くの場面に対応できます。

英語ページを追加すると、日本語サイトの検索順位に悪影響はありますか?

悪影響を心配する必要は、ほとんどありません。言語ごとにURLを分け、hreflangで日本語版と英語版の関係を示しておけば十分です。日本語で検索する人には日本語版、英語で検索する人には英語版が表示されやすくなります。むしろ1ページに日本語と英語を混在させるほうが、ページの言語が伝わりにくくなるので注意が必要です。

まとめ

多言語対応サイトでインバウンド集客を強化する第一歩は、サイトを丸ごと翻訳することではありません。訪日客が来店前に確かめたい7つの情報を、外国語のページ1枚に、専用のURLでまとめることから始めましょう。

ポイントは次の3つです。

  1. 言語は迷ったら英語から。そのうえで、実際に来ているお客様の国から次の言語を決める
  2. 言語ごとにURLを分け、1ページ1言語で、料金や営業時間は文字で載せる
  3. 機械翻訳は下訳に使い、料金・アレルギー・キャンセルだけは人の目で確認する

まずは今日、お店のメニューと料金、営業時間、支払い方法を日本語で書き出してみてください。それが、外国人のお客様を迎える最初の1ページの原稿になります。

最初の一歩は、7つの情報をまとめた英語ページ1枚です。料金やアレルギーのように、間違えると困る部分だけは人の目で確かめてください。

全部を完璧にしなくていいと分かって、気が楽になりました。まずはメニューと営業時間を書き出すところから始めてみます。

各種SNSのシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
読みたい場所にジャンプ