今やビジネスにおいて、企業のホームページは名刺代わりとも言える「あって当たり前」の存在です。しかし、「ホームページを作る」と聞くと、「専門知識が必要で難しそう」「多額の費用がかかる」といったハードルの高さを感じていませんか?
実は今、その常識が大きく変わりつつあります。その変化の中心にあるのが「WordPress(ワードプレス)」です。世界中のWebサイトの約4割がこの仕組みで作られていますが、なぜこれほど多くの企業に選ばれているのでしょうか。
長年Web制作の現場に携わってきた私が、その理由を専門用語を使わずに分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの会社がなぜWordPressを導入すべきなのか、その明確な答えが見つかるはずです。
そもそも「WordPress」とは?一言でいうと「Webサイトの管理システム」
メリットのお話に入る前に、まずは「WordPressとは一体何なのか」という疑問にお答えしましょう。 専門的な言葉では「CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)」と呼ばれますが、難しく考える必要はありません。一言で言えば、「プログラミングの知識がない人でも、簡単にWebサイトを作成・管理できるようにした仕組み」のことです。
通常、Webサイトをゼロから作るには、HTMLやCSSといったコンピューター言語を記述し、ファイルを一つひとつサーバーにアップロードするという複雑な手順が必要です。 しかし、WordPressを導入すると、裏側で動く複雑なプログラムがその作業をすべて代行してくれます。私たちは、用意された管理画面に文章や画像を入れるだけ。あたかもブログサービスを使うような感覚で、本格的なホームページを持つことができるのです。
ちなみに、WordPressには「インストール型(WordPress.org)」と「ブログサービス型(WordPress.com)」の2種類が存在しますが、一般的に企業のホームページとしてビジネスで利用されるのは、自由度が高い「インストール型」の方です。この記事でも、このインストール型について解説していきます。
専門知識ゼロでも、自分たちで簡単に更新できる
企業がWordPressを選ぶ最大の理由は、何といっても「更新のしやすさ」にあります。
従来のホームページは、文字を一つ修正するだけでも、HTMLと呼ばれる専門的なコンピューター言語の知識が必要でした。そのため、社内に詳しい人がいなければ、ちょっとしたお知らせを載せるだけでも外部の制作会社に依頼しなければなりませんでした。これでは時間も費用もかかってしまいます。
しかし、WordPressは違います。専門的な知識は一切不要です。まるでブログを書いたり、SNSに投稿したりするような感覚で、誰でも簡単にホームページの内容を更新できます。
管理画面と呼ばれる専用のページにログインし、文章を入力して、載せたい写真を選ぶだけ。あとは「公開」ボタンを押せば、すぐにホームページに反映されます。新商品の情報、年末年始の休業案内、採用情報など、社内の担当者が自分のタイミングで自由に発信できるようになるのです。
「ホームページは作ったけれど、更新されずに放置されている」という企業は少なくありません。WordPressを導入することは、ホームページを常に最新の状態に保ち、生き生きとした情報発信基地にするための第一歩となります。自分たちで管理できるという安心感は、何物にも代えがたいメリットです。

システム自体は無料。コストを賢く抑えられる
企業活動において、コスト意識は非常に重要です。ホームページの導入においても、できるだけ費用を抑えたいと考えるのは当然のことでしょう。WordPressは、そんな企業の強い味方になります。
驚かれるかもしれませんが、WordPressというシステムそのものは、なんと無料で使うことができます。これは、世界中の有志の開発者たちがボランティアで開発を続け、誰でも自由に使えるように公開してくれているからです。
もちろん、ホームページをインターネット上に公開するためには、データを置いておく場所(サーバー)や、インターネット上の住所(ドメイン)が必要になり、これらには維持費がかかります。しかし、ホームページを動かすための「基本ソフト」であるWordPressの利用料は一切かかりません。
例えるなら、家を建てるための土地代はかかりますが、非常に高性能な家の「設計図」が無料で手に入るようなものです。
システム自体にお金がかからない分、浮いた予算を他の重要な部分に回すことができます。例えば、プロのデザイナーに依頼して自社らしい魅力的なデザインに仕上げたり、プロのカメラマンに写真撮影を依頼したり、あるいはサイトに掲載する文章の作成に力を入れたりすることができます。
初期費用やランニングコストを賢く抑えつつ、質の高いホームページを持てること。これが、多くの企業がWordPressを選ぶ大きな経済的理由です。

まるでスマホアプリ。必要な機能を後から自由に追加できる
会社の成長に合わせて、ホームページに求められる役割も変化していきます。最初は会社案内だけのシンプルなサイトで良くても、やがて「お客様からの問い合わせを増やしたい」「ウェブ上で商品の予約を受け付けたい」「採用のための専用ページを作りたい」といった要望が出てくるものです。
一般的なホームページの仕組みでは、こうした機能を追加するために大規模な改修工事が必要になり、多額の費用と時間がかかることが少なくありません。
しかし、WordPressなら、そのような心配は無用です。WordPressには「プラグイン」と呼ばれる便利な仕組みがあります。これは、スマートフォンにアプリをインストールするのと同じような感覚で、ホームページに様々な機能を後から自由に追加できる仕組みです。
例えば、「お問い合わせフォーム」を設置するプラグイン、「予約システム」を導入するプラグイン、「人気記事ランキング」を表示するプラグインなど、世界中で開発された便利な機能が無数に存在します。その多くが無料で提供されており、管理画面から数回クリックするだけで導入できます。
デザインに関しても同様です。「テーマ」と呼ばれる着せ替え機能を使えば、サイトの見た目を瞬時に変更できます。企業のイメージに合わせて、スタイリッシュなデザインや、温かみのあるデザインなど、自由に選ぶことができます。
このように、小さく始めて大きく育てることができる柔軟性も、WordPressが企業に支持される大きな理由の一つです。

制作できるサイトの事例
「WordPress=ブログを書くためのツール」と誤解されている方もいらっしゃいますが、それは一昔前の話です。現在ではその機能性の高さから、あらゆるタイプのWebサイト構築に使われています。
実際にどのようなサイトが作れるのか、代表的な例を挙げてみましょう。
企業の公式サイト(コーポレートサイト)
会社概要、サービス紹介、IR情報などを備えた、最も一般的な利用法です。日本を代表するような大企業でも、更新のしやすさからWordPressが採用されています。
- 参考:株式会社ZOZO ( https://corp.zozo.com/ )
- ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する企業の公式サイトです。スタイリッシュなデザインですが、裏側はWordPressで動いています。
採用特設サイト
求職者に向けたインタビュー記事や、募集要項を掲載する専用サイトも簡単に構築できます。社内の雰囲気を伝える写真を自分たちで手軽に追加できるのが強みです。
- 参考:mercan(メルカン)( https://mercan.mercari.com/ )
- フリマアプリ「メルカリ」が運営するコンテンツプラットフォームです。社員インタビューやイベントレポートなどが日々更新され、採用活動の強力な武器として活用されています。
商品紹介ページ(LP)やネットショップ
この他にも、特定の商品を売り出すためのランディングページ(LP)や、商品を直接販売するネットショップなど、アイデアと「プラグイン」の組み合わせ次第で、あらゆるビジネスの要望に応えるサイトを作ることができます。
このように、名刺代わりのシンプルなサイトから、企業の公式サイトまで、規模を問わず対応できる懐の深さがWordPressの真価なのです。
世界で一番使われているから、困った時も安心
「みんなが使っているから安心」というのは、日本人の特性かもしれませんが、WordPressに関しては、これは非常に合理的な理由となります。
冒頭でもお伝えした通り、WordPressは世界で最も利用されているホームページのシステムです。利用者が多いということは、それだけ情報が豊富にあるということを意味します。
例えば、操作方法で分からないことがあったり、ちょっとしたトラブルが発生したりしても、インターネットで検索すれば、解決策が書かれたブログ記事や解説動画がすぐに見つかります。初心者向けの書籍も数多く出版されています。マイナーなシステムでは、こうはいきません。情報が見つからず、途方に暮れてしまうことも珍しくありません。
また、WordPressに対応できる制作会社やフリーランスの技術者が多いことも大きなメリットです。もし、社内での運用が難しくなった場合や、より高度なカスタマイズが必要になった場合でも、依頼先の選択肢が豊富にあります。「作った会社が倒産して、誰もメンテナンスできなくなった」というようなリスクを避けることができるのです。
世界中の多くの企業が利用し、日々改善され続けているシステムだからこそ、安心して長く使い続けることができます。この「安心感」こそが、企業のウェブ担当者にとって最も心強い味方となるはずです。

導入前に知っておくべき「注意点」と「対策」
ここまでWordPressの良い面を中心にお伝えしてきましたが、プロとして公正な視点で「注意すべき点」についても触れておかなければなりません。メリットの裏返しとも言えるポイントですが、事前に知っておけば対策が可能です。
定期的なメンテナンスが必要
WordPressは、機能改善やセキュリティ向上のために頻繁にアップデート(更新)が行われます。スマホのOSを最新にするのと同じように、WordPress本体やプラグインも常に最新の状態に保つ必要があります。これを怠ると、不具合の原因になることがあります。
セキュリティ対策が必須
「世界で一番使われている」ということは、それだけサイバー攻撃の標的にもなりやすいという側面があります。ただし、これは「泥棒に入られやすいから鍵をかけましょう」という話と同じです。適切なセキュリティ用のプラグインを入れたり、パスワードを強固なものにしたりすることで、リスクは大幅に下げることができます。
これらの管理やセキュリティ対策に不安がある場合は、無理にすべて自社で行おうとせず、WordPressの保守管理を得意とする制作会社などのプロに相談することをお勧めします。プロのサポートを受けながら運用することで、安心してビジネスに集中できる環境が整います。
まとめ:まずは「どんなサイトにしたいか」をイメージすることから
ここまで、企業がWordPressを選ぶべき4つの理由をお伝えしてきました。「更新のしやすさ」「コストパフォーマンスの良さ」「将来的な拡張性」、そして「世界標準の安心感」。これらのメリットは、企業の規模や業種を問わず、大きな力となるはずです。
難しい専門知識は必要ありません。WordPressは、あなたの会社のビジネスを加速させるための強力な「道具」です。まずは、「自社のホームページで誰に何を伝えたいのか」「どんな成果を上げたいのか」をイメージすることから始めてみてください。その想いを形にするための最適なパートナーとして、WordPressはきっとあなたの期待に応えてくれるでしょう。


